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よく聞くけど、その意味はなんとなくしかわからない言葉:デフォルト

大学の先輩から質問ツイートをいただきました。

こんなやり取りがありました。

言葉は、その言葉ができてから今日に至るまでに様々な意味を詰め込みます。それをまとめたものが辞書ですね。様々な意味が込められてきた歴史があるだけに、その時代背景や使用した場面によって意味の捉え方も大きく変わります。 今回は「デフォルト」についてみてみましょう。

辞書では…

名詞

  1. (予定試合への)不出場 
  2. (義務などの)不履行、怠慢;延滞;債務不履行, デフォールト:default risk 債務不履行の危険性、デフォルトリスク
  3. [法]けん怠:特に法定出頭義務の不履行、judgement by defalt 欠席裁判 4.[コンピュータ]ハードやソフトの初期設定

自動詞

  1. 棄権する;不戦敗になる
  2. (~の)約束[義務]を怠る;債務を履行しない、滞納する
  3. 3.(裁判に)欠席する;欠席して敗訴する

他動詞

  1. <予定試合に>棄権する、不戦敗になる、<選手に>退場を命じる
  2. <義務を>怠る;<債務を>返済しない
  3. <人を>欠席裁判にふする

形容詞

ほかに特に限定がない場合の

小学館プログレス英和中辞典第4版から引用

よく目にする場面1:パソコンの設定

アプリをダウンロードしてインストールしているときに、設定を標準でいくかカスタマイズするか選択するケースがあると思います。その時「標準(デフォルト)」書いてある言葉のことですね。わりと目にされたことがある方は多いと思います。これは名詞の4ですね。

よく目にする場面2:金融関係

例えば最近ではこのようなニュースをよく見かけます。

UPDATE 3-中国全人代閉幕、李首相が成長目標下振れ容認姿勢 金融商品の一部デフォルトは「避けられず」(ロイターより)

この場合のデフォルトは債務不履行の意味になります。債務不履行でもなじみのない言葉なので、砕いてみましょう。

債務が不履行になる。債務とは負債を負うことである。負債の代表的なものはお金を借りること。不履行になるとは履行しないこと。

履行しないとは約束や契約などを実際に行うこと。つまり、不履行とは約束や契約などを実際に行わ(れ)ないこと。

この2つをたすと、お金を借りて(これは終了している)当然返す契約になっているけど、それを実際に行わないこと。お金を借りたことは終了している(だから債務がある)から、その後何を実際に行わないかは返済をしない(できない)こと。これが債務不履行です。

金融関係のデフォルトは普通の言葉か

市中業務(銀行とお客さんとの取引)では、あまりデフォルトという言葉は使わない印象です。しかし、デフォルトの日本語訳として使う債務不履行という意味ではいくらでもあります。例えば手形や小切手の不渡り、ローンの返済ができなくなったなどが銀行員にとって身近な債務不履行です。

次に、インターバンク(銀行と銀行との取引)、もっと広くマネー市場(海外の銀行や海外の保険会社、そもそも国も含めた広い意味での金融取引)ではデフォルトという表現を使っている感じがします。過去の有名なところではアルゼンチンが国としてデフォルトを宣言しています(日本語版wiki pediaによれば2001年)。

デフォルトリスクは実はあなたももっている

ところで、誰でも銀行に口座をもうけて預金しています。今では給与の支払いが現金という会社は少なくなりました。あなたの銀行預金はもちろん資産です。現金でもっていると怖いから、銀行に預かってもらっているのです。預けたお金を返してといえばすぐに返してもらえます。窓口に行ってお金を引き出すことが返してもらうことです。

これを銀行側からみてみましょう。お客さんの資産であるお金を預かったら、銀行にとっては負債です。返してといわれたら、いつでも返さなくては行けません。一方で、預かったお金をずっと銀行がもち続けていても窓口のお姉さんの人件費を支払う経費も出てきません。なので銀行はお金が借りたいお客さんにお金を貸して利息をもらいます。この利息が銀行の収益です。その一部が、お金を預けてくれてありがとうということで預金してくれたお客さんに利息としてお渡しします。お金を持っていたくないから銀行に預けたい人がいて、反対にお金が使いたいけど今は持ってないから借りたいという人がいて、初めて銀行の商売は成立します。

残念なことに、貸したお金が返ってこなくなることがあります。お金をお金を貸してあげた人が夜逃げしてしまったとか、貸してあげた会社がつぶれてしまった場合です。お客さんから預かったお金を、 別のお客さんに貸したら返ってこなくなったら、預けてくれたお客さんが窓口にお金返してって出金に来店されても返せなくなってしまいます。そんなことは絶対にあってはいけません。銀行は貸したお金が返ってこなくなった場合、その埋め合わせを銀行が儲けたお金から穴埋めします。

失われた10年、どころか最近では失われた20年ともいわれますが、バブル崩壊による不景気で貸したお金が、儲けて穴埋めができるレベルを超えてしまった銀行がいくつかあります。その場合、あなたの預金はどうなるのでしょうか。これが、あなたが持っているデフォルト(預けたお金が返ってこなくなる)リスク(危険)になります。

誰もが持っているデフォルトリスクのヘッジ:もらえる利息は減るけど、預金保険

お金を預けた銀行が、貸したお金が返ってこなくなったときの埋め合わせができない状態になったときに、その銀行は経営破綻します。つまり潰れるわけです。潰れてしまったら、本当に預けたお金が返ってこなくなってきます。みなさんが銀行にお金を預けていることは、実はこんなリスクを知らぬ間に背負っているのです。なので本当はお金を預けている銀行が返ってこないようなお金の貸し方をしていないかとか、貸したお金が返ってこなくなっても穴埋めできるだけの儲けを出しているかをチェックしないといけません。

しかし、そんなことをやっている時間も知識も普通の人にはありません。その手間を省くために、預金保険制度があります。それがみなさんが持っているデフォルトリスクに対するリスクヘッジです。ヘッジとは日本語で回避する、避ける。預金保険によってみなさんの銀行に預けたお金はリスク(危険)ヘッジ(避ける)しています。 預金保険は文字通り保険ですから、家の火災保険や車の任意保険のように保険料を支払わなくてはいけません。保険は何もないときでもお金を払っておくから、万が一何かがあったとき(車だったら事故したとき)はよろしくね、すなわち事故や火事に遭うリスクを持っているけど、毎年お金払っておくから事故や火事で家が燃えてしまったときは面倒みてねというカタチで事故や火事のリスクをヘッジしています。ところがみなさんは、銀行に預けたお金に保険なんかかけた覚え、保険料を支払った覚えはないですよね。預金保険における保険料は、預金保険機構と取り決めした保険料を銀行が支払ってくれているのです。

車の事故や家の火事に対する保険料は自分で支払わなくてはなりませんが、預金保険は銀行が保険料を払ってくれます。これはタダで保険に入っていることと同じに思えるかもしれません。実際はそうかもしれませんが、こんな考え方もあります。銀行は保険料を支払いますから経費が増えます。せっかくの儲けも、保険料という経費が余分にかかってしまって儲けが減ってしまいます。みなさんが銀行に預けてくれたことに対するありがとうの利息は、銀行が諸々の経費を差し引いて残った儲けから払うわけですが、経費が余分にかかっている分儲けが減りますので、その分だけありがとうの利息が減ってしまいます。そういう意味では、本当はもう少しだけ利息がもらえたかもしれないけど、銀行が保険料を代わりに払ってくれたという考え方をすれば、みなさんが負担したといえなくもないのです。

改めて、預金保険って?ー全部が全部保険されていない

預金保険法で定められた預金保険機構が、銀行が預かった預金に対する保険を行う機関です。簡単に説明しますと、対象となる銀行(信用金庫、信用組合等含む)預金は日本に本店がある、なおかつ日本の支店に預けた日本円の預金、および一部金銭信託等です(詳細は預金保険機構:保護される預金等の範囲をご覧ください)。日本に本店がある銀行の海外の支店で作った預金は対象外です。加えて、外国に本店がある銀行の日本の支店の預金も対象外です(詳細は預金保険機構:対象金融機関をご覧ください)。

金額にも上限があり、預けた銀行あたり1人10,000,000円(いっせんまんえん)と、銀行が破綻した日までの利息です(これについても、預金保険機構:保護される預金等の範囲で確認してみて下さい)。

注意したいのは、銀行と名のつくところで預けたお金が全部対象になるとは限らないということです。外貨預金は対象外ですし、今では銀行でも投資信託を取扱っていますが、当然対象になりません。

金額も注意が必要です。1つの銀行で1人10,000,000円ですので、支店をわけて預けた場合はもちろん合計されます

ちなみに、銀行が破綻して預金保険から預けたお金を返してもらうことがペイオフ発動です。26年3月15日現在、ペイオフ発動はただ1回だけで、日本振興銀行が経営破綻したときに使われた限りです(ペイオフ、初の発動 振興銀きょう破綻申請:日経新聞/2010年9月10日)。加えてよく銀行へ公的資金注入ということを以前よく聞きましたが、これも穴埋めすることができなくなったために行われたことです。しかし、公的資金注入という言葉だけ聞けば経営に失敗した銀行にタダでお金をあげているような印象がなくもないですが、実際は銀行が株式を発行して国がその株を保有するなどの方法がとられていますので、決してタダで税金を使ったわけではありません。国が株を持つことは、当然また儲かるようになったときに配当金が支払われますし、穴埋めができるようになれば国から株式を買い取ってちゃんとお金を返しているのです。

 

 

今回はパソコンと銀行預金に焦点をあてましたが、債務不履行という意味では会社が給料を払ってくれないもそうですし、お客さんのところに納品したけど期限に支払ってもらえなかったも債務不履行です。そうこうしている間に会社やお客さんが潰れてしまったら完全に支払ってもらえなくなる可能性が途端に高くなります。

どこか別世界に聞こえるデフォルト。でも、意外に身近なところにデフォルトの可能性は潜んでいるものです。

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