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住宅ローンの返済方法は2種類ある

住宅ローンの返済方法は2種類ある

最近ではどの銀行も住宅ローンに力を入れていますし、販売業者とタイアップしてモデルルームに銀行が出張していたりして、ローンを組む借り手側からすると金利の安い銀行だったり手数料の安い銀行だったりと選択の幅が広がりました。ほんの十数年前までは家を買うローン=住宅金融公庫(現、住宅金融支援機構フラット35の大本ですね)だった時代からすると、大きな変化です。

今回は、ローンの返済方法について説明してみようと思います。

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photo credit: The.Comedian via photopin cc

銀行員が教えない、返済方法の不都合な真実

車のローンなんかを借りたことがある方はお分かりのとおり、借入の返済額って基本的に毎月同じ金額なんです。同じ金額を5年なら60ヶ月、最初か最後で少し調整がありますが、基本的にずっと同じ金額を借入先に支払っていきます。 あたり前のお話ですが、銀行はただでは貸してくれませんので毎月支払うなかに金利が入っています。ごく当然のごとく、毎月○○,○○○円払っていたら、そのなかには借金の返済と金利の支払いが組み込まれているんです。繰り返しになりますが、あたり前のことなんですが、「ローンを毎月○○,○○○円返してる」という言い方は間違いなのです。その金額全額を借金の返済に使っていないのです。 車のローンや、学資ローンのように、もともと借入金額がそれほど大きくならないローン商品の返済方法は、どの銀行も概ねこの方式しかありません(もちろん、全部を調べたわけではありません。

話が家やマンションを買うという、金額の桁が1つ2つ増えた話になると事情が変わります。上記のように、毎月同じ金額を借入先に支払ってそのなかに借金の返済と利息の支払いが含まれている方法(この方法を元利均等返済と言います)と、もう1つ、毎月同じ金額だけ借金を返して、それにプラスして利息を支払うという、元金均等返済というものがあって、この2種類から選ぶことになります。

銀行によっては住宅ローンで元金均等返済の取扱いをしていないところもありますし、僕が今までいろいろなケースから考えますと、元利金等返済と元金均等返済のどちらかを選べるけど、元金均等返済の方を選択しているケースはありまり多くありません。両者それぞれに、貸し手側にも借り手側にもメリット、デメリットがあるのですが、同じ金額、同じ期間、同じ金利で借入をしても、全部支払いが終わった後の合計、つまり借りたお金+支払った利息の合計は、元利金等返済の方が元金均等返済額より大きい金額になるのです。

毎月の返済額がいくらになるんだろうという側面が先行しますから、借りる人も貸す側もいわゆるサラリーマンのような個人へのローン(もちろん、会社に貸すのもローンではあるんですが)は元利金等返済でものを考えてしまいます。ローン相談に行く場合は、ここのところを十分に知ってから相談に行った方がよいでしょう。

何が違うの?元利均等返済と元金均等返済の支払い総額の差はバカにできない

では、実際に比較してみましょう。具体的に借入を30,000,000円(さんぜんまんえん)、金利を3.000%、借入期間を30年としましょう。

  元利均等返済 元金均等返済
毎月の返済額 126,481円(返済+利息込み) 158,333円=83,000円(返済)+75,333(利息)
30年間の支払い総額 45,533,001円 43,537,380円
  • シミュレーションは住宅金融支援機構シミュレータを使用
  • 元金均等返済の返済部分83,000円は、83,333円の333円を切り捨て、最終回調整とした
  • 金利は30年間の間、3.000%から変動しないと想定した

支払い総額をみて下さい。45,533,001円と43,537,380円。その差は1,995,621円。約2,000,000円(にひゃくまんえん)です。この差はバカにできません。

図で見てみる元利金等返済と元金均等返済の違い

わかりやすく、簡単な図にしてみました。概念的に図にしたものですので、実際の毎月の支払い金額をスプレッドシートに入力して作成したものではありませんので、ご了承ください。

両者の違いは毎月の支払い金額が変わるか、変わらないかです。元利金等返済は全部返し終わるまで金額が変わらない一方、元金均等返済は元金が単純に借りた金額÷返済回数(30年ならば360回)で単純に割った金額の借入が減っていきます。借金が減れば当然利息も減っていきます。

元利金等返済は毎月の支払額が最後まで一定ではあるのですが、毎月同じ金額を支払う中身が変わります。図を見ていただくとわかりやすいですが、同じ金額のうち、借りて間もないころは利息の占める割合が高く、本当の借金の返済は多くありません。つまり借金の減り方が遅いわけですから当然支払う利息の総額が元利金等返済と比べると増えるということになります。

下の図は、左側が元利均等返済、右側が元金均等返済です。

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元金均等返済のデメリット

30年間の長い目で見れば約2,000,000円(にひゃくまんえん)近くお得な元金均等返済ですが、デメリットも当然あります。それは借りた後の最初の方の返済の金額が元利金等返済より多くなるという点です。

両方の図をもう一度みて下さい。横軸に返済期間をとっていますが、最初の方は縦軸の毎月の支払額が元利金等返済よりも高い位置にあります。それだけ毎月の出費が多くなることです。 多くのサラリーマンは年齢を重ねるごとに給与が上がります(あくまでも旧来的な日本企業をイメージした場合)。なので若いうちは所得が低いことから、年収に対するローンへの支払いの比率が高くなります。

若いうちは子どもに手がかかり、子どものうちは奥さんが働けないという状況を考えると、毎月の出費は抑えたいところです。そうした場合に、元金均等返済は所得が低いときに多くのローンへの支払いが求められますので収入と出費に矛盾が生じてしまうのです。この点が元金均等のデメリットと言えます。

それでも元金均等返済を、僕は勧めます

最初のうちは確実に返済が大変ですが、それでも元金均等返済をお勧めします。理由はとにかく借金は早く減らせということです。夢のマイホームも自己資金で買ってしまえば自分の資産が現金から不動産に変わるだけです。しかし多くの場合そんなことは夢のまた夢で、借入に頼ることになります。

世の常として、古くなったものの値段は下がります。家の値段の下がり方と借金の減り方がイコールであれば売って返すことができますが、余程の不動産バブルでも起らないかぎりそれは無理でしょう。新築ならなおさらで、例えば30,000,000円(さんぜんまんえん)で買った家も、その瞬間に30,000,000円ではなくなります。もし買った1ヶ月後に売ろうと思っても、30,000,000円では買ってもらえません。数百万円はあっという間に値が下がります。もちろん、1ヶ月ですから借入は100,000円(じゅうまんえん)も減っているかどうかです。勝った瞬間に、借金の方が家の値段より大きくなってしまいます。これが将来の自由をどれだけ奪うことになるのかを考えると、とにかく早く借金を減らす方法をとるべきだと考えるのです。

マンションから一戸建てへ住み替えよう、一戸建てでももっと便利で大きな一戸建てへ住み替えようと思っても、今もっているものを売って借金が全部返らなければ売りたくても売れません。家は一生の買い物といわれますので住み替えなんてと思われるかもしれませんが、仕事の都合でやむなく住めなくなるということも考えられます。もちろんその場合は誰かに家を貸せば言い訳ですが、返済額をカバーするだけの家賃が設定できるかは未知数です。

来年の景気もよくわからない昨今、やろうとしていることは何十年とかかる負債を作ろうとしていることだということをもう一度よく考えてみて下さい。それでもやっぱり家が欲しいと自分が納得してから借りること。これが大事だと思います。ローンは家を買うことの惰性でついてくるものではなく、あなたが借入をしようと意思をもったからお金を借りることができるのです。

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