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シリコンバレーの時代の流れとITエグゼクティブの日常生活が垣間みれる1冊「ジョブズの料理人」

シリコンバレーの時代の流れとITエグゼクティブの日常生活が垣間みれる1冊「ジョブズの料理人」

シリコンバレーの成功者たち。Appleのスティーブジョブズ、LinkedInのリードホフマン、名だたるIT企業の創業者、そこへ資金を投下するベンチャーキャピタル、そして弁護士。シリコンバレーの成功者たちは一体どれだけのお金を手にし、どれだけの贅沢を尽くしているのだろうか。自分には遥か届かない世界、でも野次馬みたいにちょっと覗き見もしてみたくなる、そんな彼らがどのような日常生活を送っているのか?その一辺を見ることができる本に出会いました。

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混雑時にはスティーブジョブズさんにもならんでもらいます

シリコンバレーで懐石料理を提供した桂月。日本にいる日本人の僕でも懐石料理というものを食べたことは一体何回あるだろうか。まず懐石と聞いただけで財布の心配が走る。懐石料理という言葉には、どこか贅沢なイメージがつきまとう。それをアメリカで出したら、日本でちゃんとしたフランス料理を食べるのに10,000円以上掛かるのと同じように、相当素敵なお値段になるのではないか。でも、桂月はそこまで敷居が高くない、プチ贅沢な雰囲気のお店なのかな、と思わせる感じだ。

例えば懐石料理では、コースの価格で試行錯誤を重ねたが、1人あたりの価格が100ドルをこすのはバレンタインデーやクリスマスなど、特別な日だけだった。通常の解析では2けた台というのがお客様の許容できる範囲だったからだ。

1人あたりが100ドルをこすことはまずなかった、通常の懐石では2桁台ということは、僕たちがちょっと今日は奮発してみようと思うものとそれほど変わらない。ショッピングセンターの中にあって行列ができるというほどだから、それだけ一般の人たちにも行きやすいお店だったじゃないかな。そんなお店に、アメリカIT界のエグゼティブが通い詰めたというのだから、それが「私は私」が普通のアメリカ人ではそれほど周囲の目も気にならないのかもしれないが、どう考えても僕たちが今日は奮発しようと思って行くお店に、トヨタの社長と遭遇することはないだろう。

桂月では実際にジョブズも行列に並んでいたようだし、テイクアウトのお寿司を破れたジーンズ姿で取りに来たりしていたようだ。そしてこれはスティーブ独特だったようだが、予約の電話も自分でしていたようだ。読んでて思わず「えっ?」と思ってしまった。

Kindleユーザーに話しかけた身分を伏せたKindle開発責任者

シリコンバレーで有名な弁護士は、奥さんが生魚を受付けなかったため、子どもと孫がいる東海岸へ奥さんが出かけているときに1人でよく寿司を楽しみに来ていたようだ。さすがに1人では手持ち無沙汰なのか、いつも本を持って来ていてそれがいつしかKindleに変わったらしい。そこへたまたま隣の席に座った男が「Kindleはどうだ?」と話しかけたら、「あれがよくない、これがよくない」と結構な議論になったようだ。その弁護士も話しかけられた相手がKindleの開発担当者だとはまったく知らず、正真正銘の本音でKindleの改善点を述べていたようだ。 新しいKindleがでたときにはちゃんと買い替えて、納得できていなかったところが全て改善されたと言っていたというから、一般消費者の生の声が如何に大切かがよくわかる。と同時に、そういうところへ担当者がしっかりと出向いて生の声を聞こうとするあたりが、日本人と違うのではないだろうか。こういうところへもしっかりと耳を傾けること人こそが、成功を手に入れることができる人なのではないかと思わされる。

ジョブズも中小企業の経営者???

ジョブズはお決まりの席があって、決まってカウンターの最も奥、カウンターの1番がジョブズの席だったようだ。

これもひとりでカウンター席に座っているとき、スティーブから「最近、商売は?」という質問があった。 「いろいろと頭が痛いことが多くて。従業員のこととか・・・」とこぼすと、スティーブも「そう、私もだよ」と一緒にため息をついていた。 中略 誤解を恐れずに言えば、こういうときのスティーブの表情は「世界のアップル」を率いるカリスマではなく、どこにでもいる中小企業の経営者と変わらなかった。

扱っている金額、知名度が違っても経営者の悩みはやはり「人」なのだ。そして、それは常日頃僕が考えていることと同じでサラリーマンでもやはり人については相当に悩む。どうしたらうまく仕事がまわるだろうか。どうすれば彼(女)をもう1段上のステップへ引っ張ることができるだろうか。 気難しくてわがまま、というイメージがスティーブに対しては先入観であったが、どこか誰もがうらやむカリスマではなく、あのスティーブジョブズだって人間なんだなって思わせるエピソードだ。

興味を持ったものに対する執着心の目

一方で、この本の語り手である桂月の経営者、佐久間俊雄さんは相当に気を使ったようだ。「20分後に取りに行くよ」とテイクアウトのオーダーの電話があっても、だいたいいつも時間より早くお店について、「まだ時間がかかるよ」というと「いいよ」と言ってならんで待っているという。そしてその目線が寿司職人の手に集中されて、やりにくかったこともあったようだ。 しかし、この観察眼は大学時代にカリグラフィーに夢中になったことと似ているような気がする。気に入ったものを徹底的に追求するということがここでもわかるような気がする。

ジョブズに興味はないけどシリコンバレーってなに?っていう人にお勧め

ジョブズ亡きあと、彼に関する本や雑誌の特集は数多く出されてきました。ジョブズに興味がない人にとってはきっとどこ吹く風だったと思います。僕もそうでした。 この本はジョブズの普段着姿が見られると同時に、シリコンバレーで生きている人たちの日常生活が垣間みれるような気がします。シリコンバレーは知ってるけど、それが何かよく知らないという方が手にとれば、意外と名だたる経営者が身近に感じられるかもしれません。


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