今シーズンのNFLはプレイオフも終わり、残すはスーパーボウルだけとなりました。Conference Chanpionshipが行われたのが1月20日。今年はめずらしく両カンファレス勝率1位の対決となるスーパーボールとなります。AFCは名将Peyton Manning率いるDenver BroncosとNFCはSeatle Seahawksです。NFL攻撃ナンバーワンのデンバー、最少失点、最少ヤードのシアトル。名実共にトップ通しの争いとなるスーパーボウルは2月3日(現地時間2月2日)目が離せません。
両カンファレンスのプレイオフ最終戦の1月20日と2月2日のちょうど間の1月27日(現地時間26日)、NFLのオールスターゲーム、「プロボウル」が開催されました。
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先週の敵が今週の味方
別にNFLに限った話ではなく、日本のプロ野球でもJリーグでもオールスターゲームはあります。MLBでもあります。しかし、いずれもリーグ戦の途中であったり、Jリーグだったらリーグ戦もカップ戦も終了した後だったり、終了して少し間があいてからだったりします。ところがNFLのオールスターゲームであるプロボウルは前の週までプレイオフでカンファレンス優勝をかけて戦った次の週、試合に負けたら今シーズンが最後となる試合の次の週に開催されます。
前の週まで来シーズンの自分の去就をかけて戦った後たった1週間でオールスターゲームです。NFL王座を決定するスーパーボウルに進出したフランチャイズの選手はプロボウルの出場を免除されますが、それでも2週間前、試合数でいったら2試合前まで敵だったもの同士が同じチームで戦うということはどういうメンタルなのだろうか。不思議です。
リーグ戦の途中であれば、シーズン終盤にかけてまだまだ試合数があります。オールスターの前後は試合自体が休みでホッとつかの間ということがあるかなと思います。ルールがわかりにくいのでパッとみはつかみ合いの取っ組み合いにみえるNFLの場合、そうも簡単に切り替えることができるのでしょうか。
限られた時間内でのタフネゴシエィタ
アメリカ人は交渉ごとにおいてはタフな印象があります。退かない。もちろん交渉ごとですから退かずにブレイクすることもたくさんあるでしょう。しかしそれだけではただのわがままになってしまって、何一つまとまらない、これでは何のために交渉しているのかわかりません。交渉ごとをまとめることで売上を作ったり手数料を得たり、お互いにプラスになるために交渉を行っているのです。その過程がタフかどうか。
ウォール街の人は「道ばたで売っているリンゴ1つも値切りたい」といわれるほど交渉ごとが好きだと聞きます。時には冷やかしもあるかもしれませんが、基本的にはそれを手に入れたい、反対側ではそれを売ってお金を手に入れたいという人たちの交渉ごとです。破断してしまっては元も子もありません。時間についても永遠にあるわけではありません。限られた時間の中でどれだけお互いギリギリのところまで推すことが、退くことができるのか。そのギリギリの線のところの見極めがタフのような気がします。
今年のプロボウルは味方が敵になる:ビジネスとエンタテイメントのメリハリ
オールスターですからお祭りであることはNFLも同様です。一昨年まではお祭りすぎてしまってプレイがお粗末、手ぬるくなってしまうなど、およそ選ばれしプロボウラーの集まる試合ではありませんでした。それがきっかけでプロボウルそのものを中止してしまえという声が上がったりもしたので、昨年からは真剣に試合をするようコミッショナーからお達しがでていたようです。それでもオフィシャル(審判)が初めての反則を取ったときに「プロボウルでも反則は取ります」と言ってしまうほどなので、これまでどれだけ手を抜いてきたことなのか。
今年のプロボウルはまったく違います。今までどおりファンやヘッドコーチの投票で選ばれた選手たちを、カンファレンスに関係なくプロボウルドラフトにかけて2チームを作り、その2チームが戦う形になりました。つまり、さっきまでのチームメイトが目の前ではディフェンスとオフェンスで敵味方になるわけです。
チームメイト同士のタックル。お互いに相手の特徴を知っているだけに、逆に容赦ありません。観ていて手に汗握る試合運びでした。
プロボウルはスーパーボウルに進出したチームだけが出場を免除される、NFLプレイヤにとってはビジネスです。一方でオールスターですからエンタテイメントでもあります。NFLのプロボウルはハワイで開催されることがほぼ決まっていて、フランチャイズのないハワイの人々にとっては待ちに待ったNFLであり、アメフトならではの体全体であたっていくその姿が観たいのです。
仕事に遊びを持ち込むなとか、ONとOFFの切り替えが大事だとか、とかく仕事とそれ以外は線引きがあった方がいいのかどうなのかという話がよく話題になります。厳密な敷居があるわけではなく、そのときその時がメリハリのある切り替えができることが、アメリカ人の強さであるし、決して日本人ができないわけではない、見習わなくてはいけないところかなと思います
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