『「目標の研究』という本を読みました。著者は倉下忠憲(@rashita2)さんです。
読み始めてすぐにハッとさせられたことは、私は「目標」と「目的」を混同していたということだ。本書では「目的とは、ある行動を通して得たいもの・結果・成果を意味する。目標はそこに向かうための目印、あるいは矢印だ」と明確に区別されている。但し、本書では「目的は目標の上位に位置する」としているので、そこの部分を忘れずに読み進めないと迷子になってしまうかもしれない。
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これまでは_比較的短期スパンでの_目的、目標はもっていた(と思う)。
- 〇〇の試験に合格しよう(目標)
- 営業店指導ではどのように説明すれば理解を得られるか(目的)
- 判例を読み込まなくては(目標)
- Excel for VBAをもっと使いこなせるようになりたい(目標)
- 写真を撮りに出かけたい(目標)
- 文章をもっとたくさん書けるようになりたい(目標)
などなど…。
列記してみると、思った以上に明確に「目的」と言えるものは思うように出てこなかったような気がする。
明確な目的がしっかりと整っていれば、それを達成するために何から始めれば良いのか、その方法がうまくいかなかったらどのように変更すればいいのか、トップダウンであればそのプロセスで必要な目標は計画を立てやすいような気がする。
一方で、目標は今それをやっておく必要はあるだろうけど、それが最終的に何に生かすことができるのかというヴィジョンが_自分には_欠けているようだ。
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本書では目的から目を逸らさないようにすることが必要だと説いている。そしてその目的は_自分はまだ体系的に読みきれていない_7つの習慣に登場する「ミッションステイトメント」という形で記述されるのが望ましいとしている。
ミッションステイトメントは「1年の計は元旦にあり」のように1日でパッとできるものではない。仮に短期間でできたとしても、失敗を重ねながら細かい修正を加えて丁寧に作られていくものだ。自分の本心はどこにあるのかを、自分自身でよく対話しながら作らなくてはいけない。本書ではこの作業をボトムアップだとしている。人生で最も重要なものは簡単には見いだせない。
ミッションステイトメントはトップダウンで機能するもの、最も重要な目的を示すものだが、それの作成には時間をかけてボトムアップでじっくりと作成していく。
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私は_あれもこれも_これはどういうことだ?あれはなんなんだという感じで関心や興味を抱くものがとても多い。そして実際にその関心ごとに時間を費やしたり、興味を持ったものを買ってしまうこともある。
ミッションステイトメントの作成では長期的な目的と、短期的な関心ごとを整理することなのかなと思う。だからこそ、時間をかけて注意深く書き直しを得る必要がある。
だからといって、今目の前に現れた興味のあることを無視するという乱暴なものではないと思う。もしそのような意見があるとしたら、私はそれに違和感を感じるだろう。無関心になってしまうことはとても怖いことだ。ミッションステイトメントを作り上げていく上では、そういった関心を引くものも取り入れがら、また出来上がったミッションステイトメントを実行している間でも、周囲の関心が湧いたものをどのようにそれを作用させるかを考慮するぐらいの余裕があってもいいはずだ。
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今回は本書を読んでズシッときたこと_それは目的と目標は違うということを中心に考えているが、本書は他にも「目標」についても考察が行われている。最後に章立てをご紹介する。
- はじまりの物語
Chap. 1 三つのお話
- はじめに 何かが足りない目標話
- その一: 一年の計画はいつ立てる
- その二: 目標を立てるか、捨てるか
- その三: 月旅行への目標
- 目標の研究に向けて
- 《断片的神話》無能なジェネラル
Chap. 2 目標とはなにか
- そもそもの話
- 言葉に潜む差違
- 目標の階層性
- 目標の効能
《断片的挿入》異世界からの忠告
Chap. 3 目標の弊害
- 四つの失敗と弊害
- 忘れ去られる目標
- 曖昧な目標
- サイズ違いの目標
- ずれた目標
- 目標の弊害のまとめ
《断片的挿入》書籍心理現象学
Chap. 4 機能する目標に向けて
- 機能する目標に向けて
- 目標を立てるステップ
- re: 三つの話
《断片的挿話》成功法の誤謬
Chap.5 人生にとっての夢や目標
- 夢について
- ドリームキラーについて
- さいごに 人生に夢や目標は必要か
- 終わりの物語
- 奥付
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